英たばこBAT、大株主が上場市場の変更を要求

英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が上場先をロンドン市場からニューヨークに変えるよう大株主から圧力を受けている。

英美烟草BAT
米投資会社GQGパートナーズのラジブ・ジェイン氏はBATが英国上場を続ける意味はないと述べた=ロイター

 

米投資会社GQGパートナーズのラジブ・ジェイン氏はフィナンシャル・タイムズ(FT)紙の取材に、BATの経営陣にロンドン証券取引所への上場を廃止するよう求めたと語った。BATは「ラッキーストライク」などの銘柄を有し、ロンドン証取には1912年に上場した。

ジェイン氏はBATが「英国にとどまる意味はない」と話す。同氏は、ニューヨークに上場する競合の米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)と投資評価で開きがあると指摘した。

米国市場にひかれてロンドン市場に見切りをつける企業が相次いでいる。英ケンブリッジに本拠を置くソフトバンクグループ傘下の半導体設計大手アームは3日、米国での単独上場を目指すと発表した。直近では英建設資材のCRHもロンドン市場から出て行こうとしている。

多くの企業がロンドン市場を見限るのは、英国が企業の誘致やつなぎ留めにてこずっている証拠だ。国内の株式市場を好まない英投資家も増えている。英投資助言会社オンドラパートナーズによると、国内の年金基金や保険会社が保有する英国株は20年前にはポートフォリオに占める割合が半分ほどだったが、今やわずか4%に激減した。

2022年、BATにとって米国は、売上高の約4割を稼ぐ最大市場だった。米子会社レイノルズ・アメリカンは人気銘柄「ニューポート」や「キャメル」を扱う。米ニールセンのデータでは、BATの電子たばこ「ビューズ」はシェアが41%に上る。22年は売上高と営業利益でPMIを上回ったBATだが、投資評価では大差をつけられている。15日時点の時価総額はPMIの半分にも満たない。

GQGのジェイン氏は上場先の移転要求に対するBAT経営陣の反応について詳細を語るのを断った。ただ「我々は大株主なので耳を傾けてくれたが、煮え切らない様子だった」と話した。

 

 


Post time: Apr-23-2023